食道アカラシア
食道アカラシア
食道アカラシアとは、食道から胃への食物の流れがスムーズに行われなくなってしまう病気です。
このことが誘因となり、咳や胸の痛みなどが現れます。
また、飲み込みにくさを自覚することもあります。
食道と胃のつなぎ目付近には、胃に入った食物が食道に逆流しないようにする下部食道括約筋という機構があります。
タイミングよく下部食道括約筋が緩むことで、食物は胃へと流れ込みますが、食道アカラシアの患者さんはその括約筋がうまく働かず、慢性的に食道に溜まることになるため食物が口に逆流してきます。
また、食道の感覚異常も起こるため、慢性的に食道に食物が残っていても自覚できないことがあります。
食道アカラシアでは、食道が十分に開かないことで、食物の残りかすが食道の中に溜まってしまいます。そのため主な症状に挙げられるのは、食物が飲み込みにくくなります。
特に冷たい流動食を飲み込みにくくなります。
食道アカラシアでは、気候や精神的な影響も受け、症状が変動することもあります。
また、食道に溜まっている食物の残りかすが原因となり、食道が炎症をおこし、胸やけなどの症状が出てくることもあります。
食物が誤って気管に入ってしまうこともあり、それが原因で肺炎を引き起こすこともあります。
食道アカラシアの診断に際しては、食道造影検査や内視鏡検査、食道内圧検査が行われます。
(1)食道造影検査(バリウム検査)
バリウムを飲んで食道を確認します。
食道運動の異常や異常拡張などを確認することが可能です。
(2)内視鏡検査
食道がんなど他疾患との鑑別も行うことができます。
また食道のなかに食物の残りかすが溜まっている様子が直接的に確認できます。
生活スタイルの改善や内服薬の使用、内視鏡治療、手術療法など症状や程度に合わせて治療方法を提案します。
カルシウム拮抗薬、亜硝酸製剤や漢方薬などが用いられることになります。
また、食事を摂取してから短時間のうちに就寝すると、食道内に蓄積した食物が逆流してしまい症状出現の誘因となります。
このことを防ぐために、特に就寝前の食事摂取を控えるなどの工夫が必要です。
内視鏡的な治療の場合、下部食道括約部を広げることを目的として「食道ブジー」と呼ばれる方法が選択されることがあります。その他、内視鏡を用いた新しい手術POEM(内視鏡的筋層切開術)と呼ばれる方法も開発されています。